産業廃棄物とは、事業活動によって生じた廃棄物のうち、燃えがら、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類などの20種類のものをいいます。
産業廃棄物の種類
- (1) 燃えがら
- 焼却残灰、石灰火力発電所から発生する石灰がらなど
- (2) 汚泥
- 工場排水処理や物の製造工程などから排出される泥状のもの
- (3) 廃油
- 潤滑油、洗浄用油などの不要になったもの
- (4) 廃酸
- 酸性の廃液
- (5) 廃アルカリ
- アルカリ性の廃液
- (6) 廃プラスチック類
- 合成樹脂くず、合成繊維くず、合計ゴムくず等合成高分子系化合物
- (7) 紙くず
- 建設業、紙製造業、製本業などの特定の業種から排出されるもの
- (8) 木くず
- 建設業、木材製造業などの特定の業種から排出されるもの
- (9) 繊維くず
- 建設業、繊維工業などの特定の業種から排出されるもの
- (10) 動植物性残さ
- 食料品、医薬品、香料製造業などの特定の業種から排出されるもの
- (11) 動物系固形不要物
- と畜場などから発生した動物の残さ
- (12) ゴムくず
- 天然ゴムくず
- (13) 金属くず
- 鉄くず、アルミくずなど
- (14) ガラス・コンクリート・陶磁器くず
- 製品の製造過程で生じたコンクリートくずなど
- (15) 鉱さい
- 製鉄所の炉の残さいなど
- (16) がれき類
- 建物の新築・改築・解体に伴って生じたコンクリート破片・アスファルト破片など
- (17) 家畜のふん尿
- 畜産業から排出されるもの
- (18) 家畜の死体
- 畜産業から排出されるもの
- (19) ばいじん
- 工場や焼却施設の排ガスから集められたばいじん
- (20) 上記19種類の産業廃棄物を処分するために処理したもの(コンクリート固化物など)
- (21) 1〜20の廃棄物、航行廃棄物、携帯廃棄物を除く輸入された廃棄物
産業廃棄物を委託処理するには、まず委託契約を結びます。
産業廃棄物の処理を委託する場合、排出事業者は収集運搬業者と処分業者それぞれと直接、書面で委託契約を結ばなければなりません。(委託契約書は、契約終了日から5年間、保存することが義務づけられております。)
排出事業者には、適正な処理をしてくれる業者を選ぶ責任があります。
マニフェスト制度とは
排出事業者が産業廃棄物の処理を委託するときに、マニフェストに産業廃棄物の種類、数量、運搬業者名、処分業者名などを記入し、業者から業者へ、産業廃棄物とともにマニフェストを渡しながら、処理の流れを確認するしくみです。 それぞれの処理後に、排出事業者が各業者から処理終了を記載したマニフェストを受取ることで、委託内容どおりに廃棄物が処理されたことを確認することができます。これによって、不適正な処理による環境汚染や社会問題となっている不法投棄を未然に防ぐことができます。
排出事業者様の義務
委託基準を満たす義務
排出事業者が産業廃棄物の処理を業者に委託する場合は、満たさなければならない委託基準がいくつかあります。
・委託する業者とは直接、書面で契約を結ぶこと
・委託する業者は都道府県知事等の許可を受けていること
・委託する内容が業者の許可内容とあっていること
・業者が処理基準を満たしていること 等
マニフェストの交付義務
排出事業者が産業廃棄物の処理を業者に委託する場合は、マニフェストを交付することが義務づけられています。
・マニフェストは産業廃棄物を処理業者に引き渡すときに交付します。
・マニフェストは産業廃棄物の種類ごと行き先ごとに交付します。
マニフェストの保存義務
排出事業者はA票、B2票、D票、E票を、収集運搬業者はB1票、C2票を、 処分業者はC1票をそれぞれ5年間保存する義務があります。
マニフェストの確認義務
排出事業者は処理業者から返送さられてくるマニフェストで、産業廃棄物が正しく処理されているか確認する義務があります。
マニフェストが決められた期日内に返送されてこない場合は、委託した廃棄物の状況を把握し、適切な措置を講じ、都道府県知事等に報告しなければなりません。
決められた期日とは、B2票、D票がマニフェスト交付日より90日以内、E票が180日以内です。
罰則
排出事業者がマニフェストにかかわる義務に違反した場合は、「マニフェスト確認義務違反」以外は罰則の適用を受けます。また、委託業者が不適正処理を行った場合は、排出事業者も委託業者とともに現状復帰など措置命令の対象になります。(委託業者が違反行為に対する都道府県知事の勧告に従わなかった場合は、公表→命令措置→罰則の対象となります。)
排出事業者の行為 | 罰則 |
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委託基準に違反した場合 | 5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金又はこの併科 |
マニフェストを交付しない場合 | 6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
マニフェストに必要事項を記入しない場合 | 6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
マニフェストに虚偽の記載をした場合 | 6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
マニフェストの保存義務を違反した場合 | 6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
マニフェストの確認義務を違反した場合 | ─ |
措置命令: 生活環境を保全するうえで支障を生じた場合、 またはその恐れがある場合に支障の除去や発生を防止する命令(原状回復などの命令)です。なお、「マニフェスト確認義務違反」には罰則はありませんが、他の義務違反と同様に措置命令の対象になります。